‐出逢い・1‐

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この頃、仲間達は進学ガイダンスやら東京の大学の面接やらで忙しく、わたしは一人で行動することが多かった。 相変わらずわたしは、街の女達からは騒がれ、噂の的(ろくな噂はない、悪い噂だらけである…。高校1年から変わらないのは〈ますます美しくなる、お洒落さん〉ぐらいのものである)なわけで、女子高生達に至っては、新しい新入生が入る度にギャーギャー騒ぎっぱなしで、アイドル顔負けな状況が激化していたし…。 しかしながら、わたしの〈ガキ嫌い〉は不変てありまして、天使の羽をもいだような美しい乙女や〈野菊の墓〉の純真な乙女、〈伊豆の踊り子〉のようにひたむきでオキャンな乙女達にはとんと興味がない次第なのです。 そんなわけど、街で働く美しいお姉さん達や水商売のホステスのお姉さん達との短い恋も数知れずしてきましたが…。 悦子さんとの別れが尾を引いてか…、あれからのわたしは女運に見放され、真実の愛を見つける為にフェイクな愛を演じれば演じるほど、自身の間抜けさと愚かさが透けて見えてしまうのです。 ‐あぁ、わたしは女の心の切なさも考えず、簡単に彼女達を棄ててしまう非情で冷血な悪しき者になっていく…‐
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