第一章

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満月の夜。 私は、空を見上げ泣いていた。 「帝様。かぐやでございます。」 けれど、声は届かない。 「かぐや?!かぐや姫。」 愛する人が、私を呼ぶ。 けれど、私にはもはや答える気力も無かった。 身体を何本もの矢に打ち抜かれ、血が流れる。 もはや痛みなど無かった。 あぁ、せめてこの声が届くなら。 あぁ、せめてこの手が届くなら。 あぁ、せめて笑顔を向けれるのなら。 最後の力を振り絞っても、貴方に近づくのに。 あぁ、月はいつ見ても綺麗。 私は、最後にそう呟き意識を無くした。 永久に。
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