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ヒーロースーツを着ているので直接体が傷付く事は無いが、激しい衝撃はそのまま受ける。一瞬息が出来なくなり、意識が飛びそうになったのを何とか耐えた。
「大丈夫か?」
震える男の子に問い掛けると小さく頷いた。ほっと胸を撫で下ろし続けて口を開く。
「安全な所に連れて行ってあげるからね。目を瞑ってしがみついてくれるかな?」
男の子は赤くなった目をギュッと瞑り、俺の首に手をまわして力強くしがみついた。それに応える様に、俺も力強く抱きしめその場から飛んだ。
現場から数キロ離れた所に避難所が出来ていた。男の子を怖がらせない様にゆっくりとそこに降りる。ヒーローが現れた為に若干パニックになったが、それを無視し警官に男の子を預けた。
「もう大丈夫。心配いらないよ」
軽く頭を撫でると、男の子は俺に抱き付いた。警官が男の子を宥めるが、離れようとはしない。
「イエローに助けてって言ったのに助けてくれなかった」
男の子は声を震わせながら訴える。周りの人々がその言葉に動揺している。
「……怖い思いをさせてごめんね。イエローも皆を守ろうと必死だったんだよ。だからイエローの事は責めないで欲しい。……僕がもっと早くに行けたら良かったんだ。責めるならブルーの僕を責めてくれ」
そう言うと、男の子は大きく顔を横に振った。
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