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リビングの様な待合室に転送され、いつものようにロッカールームへ向かう。
「待ちなさいよ!」
ドアノブに手を掛けた所で、アクアに呼び止められた。マスクで顔が見えないのを良い事に、不機嫌な表情を露骨にする。
「何ですか?」
「何ですかじゃないわよ! 何で一人で行動したのよ!」
「あのまま攻撃が止むまで待つのは賢明じゃない。それに長引かせるのも住民にとって迷惑だ」
早ければ早いほど、建造物の被害も抑えられる。
「だからって心配するじゃない! ねぇ? イエロー?」
「えっ……うん。凄く心配した。このまま居なくなっちゃうんじゃないかって……怖かった」
出来る事ならこのまま居なくなりたいが。ヒーローを辞める事が俺の願いだ。
「俺の心配より一般人を心配しろよ」
思っていた事がそのまま声に出して言ってしまった。いつもは自分を僕と呼ぶキャラを演じていたため、俺と言った事に目の前の奴らは驚いていた。そして、黙っていたレッドが口を開いた。
「なぁ、皆。確かにアクアの言うように、ブルーの単独行動には問題がある。一人が勝手に動き、それに気を取られている間に仲間が危険に晒される可能性がいる。だがしかしだ。それでも、そのおかげでタータカンを倒せたのも事実だ」
「レッド……でも、自分を犠牲にするようなあんな攻撃は認められないわ」
先程の勢いは無くなったものの、ソファーへ腰を下ろしたアクアは不機嫌そうに顔を背けた。
「ねぇ、もう良いじゃん! タータカン倒せたんだし。結果オーライって事でさ。所で上松さんまだかな? 今日遅くない? いつも待ってくれてるのに」
「うるさい! グリーンは黙ってなさい!」
この場を終わらせようとグリーンが空気を読まず述べたが、それに対してアクアが噛み付きグリーンは拗ねた。俺としては早く終わって欲しかった。
「……なぁブルー、今後はなるべく気を付けて欲しい。俺達五人で一つだろ?」
色々言いたい事はあるが、早くこの場から立ち去りたいため「分かった」と言い残し部屋を後にした。
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