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「そうか。勝手にするが良い。……だがな、貴様の殺せという願いは聞く事が出来ぬ。我らの組織は生身の人間には手を出さない」
「やっぱりな……」
「なんだ?」
「被害者が出るのはいつもヒーローが現れてからだ」
ヒーローは人々を守る振りをして、本当は人々を傷付けていた。それを怪人達の仕業にしてひた隠しにする。
「貴様はヒーローが憎いのか?」
「憎い……な。俺という存在を殺した。ヒーロー達はブルーが必要なだけで、俺は必要無い。別に俺でなくても良いんだ」
退職届を懐から出し眺める。
「ヒーローは退職届を出せば辞める事が出来るのか?」
「さあな……出すだけ出してみようと思ってる。受理されなかったら殺してくれ」
「そんなに死にたいのなら怪人に殺して貰えば良かろう」
「負けたくても負けられないんだよ。怪人が弱いからってより、ヒーローが反則級の技を使うから勝ってしまう。このヒーローのパワーが俺を保護しているから自殺も出来ない」
「ふん。負けたくても負けられないとは嫌味か。……ならば、望み通り殺してやろう。だが良く考える事だな。次に会う時まで貴様の気が変わらなければ叶えてやる。……どうやら今日はここまでの様だ。ではな、ブルー」
怪人は空間に出来た歪みに吸い込まれる様に消えた。それからすぐに遠くでヒーローの叫ぶ声が聞こえた。
徐々に近付いて来るヒーローに会いたくないので、この場から足早に立ち去った。
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