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ここは 『天笠木芸能プロダクション』の所有物の撮影現場。
あそこにも、あっちにもとテレビに映っていた、女優やモデルがいる。
そのなかで平凡感溢れる少女が一人いた。
「あ、すいませんこれ捨てといて~」
そこにいたカメラマンに空のペットボトルを渡されるうみ。
「あ、はい~…」
引き攣りぎみの笑顔をカメラマンに向ける。その目は正直笑ってない。
(私は雑用じゃないからっ)
うみは内心シュレックじゃねーよの勢いで突っ込みを入れた。
周りの仕事ぶりに圧倒されて少し居心地の悪さを感じる。
ドンッ
「ぁ、すいませ…」
言いかけてやめてしまう。
「…気をつけて?」
ジロリとかなり目線上から見下ろされた。
目の先にはファッションモデルの橘 有菜がいた。
「すいません………」
(怖いよっ)
あまりの気迫に危機感を感じうみはその場を逃げ出した。
(さっきのアリナじゃない…?綺麗だけど怖いよ~。)
知り合いなんてそこに居やしない。だから独りぼっち寂しいながら探索していたら、
「あっやだそこ違うわぁ~」
聞き慣れたクッションのような柔らかい声質の
私の母の声。
よかったいた!その場で跳ねてしまいそうなくらいの喜び。
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