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くるっとお母さんはふりかえる。 そして柔軟剤の様な柔らかい笑顔で私の所まで歩く。 「うみちゃん~、一体どうしたの? 珍しいじゃない。撮影現場にくるなんて」 なんて話しながらパーカーの襟を直してくれる。 うーん。私もう高校生だよー…? 子供扱いされて気恥ずかしさを感じながら持っていた紙袋を差し出した。 「お、お母さん、襟は大丈夫だよ?それよりこれを…、はい、お弁当……」 バシッ お母さんに渡すはずのお弁当を横から強奪される。 突然の出来事に私もお母さんも目を丸くする。 そして奪われた弁当を目で追う。 「お弁当頂きっ」 そこには私の幼なじみの市川 颯太がいた。 奪ったお弁当を手に持ち。 「誰があげるか!!」 思い切り弁慶の泣きどころを蹴ってやった。 「イデーーっ」 颯太はいきなりしゃがみ込んだ。 「ざまーみれば?」 思い切り上から見下ろし、取られたお弁当を奪い反す。
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