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「はいっ、早くお弁当受けとってとられるとられるーっ」 ホラホラ、と急がせるが母にはあまり緊迫感が伝わらず渡されるがままという状態。 「うみーっいいじゃねーか、うみの作ったもん美味いんだからさー」 「うっ…」 面とむかって美味いとかいうかな…。 少し顔が熱くなるのを感じた。 「そうよ~、颯太君に意地悪しちゃだめよ?」 「うぅっ…」 母にもいわれる。 お母さんがそっち側につくなんてぇっ。 相変わらず颯太は「弁当弁当」とうるさい、そんな中撮影現場の雰囲気が変わった。 「こんにちは、社長」 雰囲気が変わった原因は、彼女だ。 「うわ、かわいー」 「やっば~」 ひそひそと上がる称賛の声と彼女の美貌に対する嫉妬の目線が、 彼女の近くにいたうみにも刺さり居心地の悪さが高まる。 なんだか大人の世界って怖いんですけどー!? ササッと颯太の陰にうみは隠れた。 「なんだよ、弁当くれねーでっ」 「いいじゃない、ってか颯太の弁当あるに決まってんじゃん」 「……え」 あーだこーだ言っていてもうみは颯太の事もしっかり考えていた。 「……あそ」 颯太はついつい顔が赤くなるのを感じてうみから顔をそらしたのであった。
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