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ぼっ。
という、ライターが発火するような音が、聞こえてきそうだ。
それほど勢いよく、一瞬にして、
蒔屋の顔が赤く染められた。
……あのー、それ。
伝染するから、やめてくれないすか。
なんとなく気恥ずかしくなり、
赤面する蒔屋から目を逸らして、手をぱっ、と離す。
「……嘉奈ちゃんに見られなくてよかったね」
「……は?」
「今の。」
第一声が、それ?
……なんで「嘉奈」が出てくんだよ。
出来れば、お前の口からは聞きたくなかったんだけど。
「――なんで」
「え?」
蒔屋が俺を、びっくりしたように見上げた。
その様子で、つい無意識に口が緩んでしまったことを知る。
「や、なんでもねっ」
直ぐ様荷物を持ち上げ、蒔屋を置いて全速力でその場から逃げる。
なんだよなんだよ。
やばくねーか、俺。
――マジで、やばいとこまで来てる気がする。
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