プロローグ

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夢幻山:南平地…白狼族の村 時:春月の桜(春の初め) 「ねぇ、おじさん!ギン見なかった?」 「おっ、紅葉ちゃん。また銀と隠れんぼかい?」 「うん!だからギン見なかった?今日こそは絶対見つけるの!」 「うーん、見てないな。銀はこの村で一番脚が速いし、自分の気配を消すのも得意だからなー」 「えー、じゃあギンを見つけたら必ず言ってね。今日のきのみを賭けてるんだから」 紅葉はそう言って元気一杯に走り去った。 「元気のいい明るい子に育ったわね、紅葉ちゃん」 隣で今のやり取り見ていた女性がおじさんと呼ばれた男性に話しかける。 男性は心の底から嬉しいような笑みを浮かべて頷いて言った。 「ああ、あの子はこの村の未来の希望だよ。それに銀とあの子を見ていると昔の村を思い出すよ」
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