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お婆さんとその人とは食事後少しの時間だけ会話するようになった
互いに惹かれていく
自分の生い立ちや普段の悩み事
どうでもいい話をするようになった
特攻隊の出撃がこないまま一年がたった
昭和20年8月15日朝5時
食堂でドアを激しく叩く音がする
お婆さんは起きてドアを開けると彼がいた
彼「朝早くすみません。一言お礼を言いたく参りました。いままでお世話になりました」
婆「え?」
彼「お国の為に行って参ります」
彼は敬礼をした。お婆さんは彼に出撃命令が出たと理解した
婆「行ってらっしゃい、お国の為頑張って…………下さい」
お婆さんは涙をこらえ敬礼した
彼「先に行ってるからね」
そう言うと彼は飛行機乗りの証の赤いマフラーを渡し走っていった
彼が見えなくなってからお婆さんは彼からもらったマフラーを握り締めおもいっきり泣いた
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