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彼と別れてから七時間後
昭和20年8月15日昼
終戦を知らせる玉音(ぎょくじ)放送がラジオから流れた
日本が戦争に負けたと知らせる放送が今全国にながれた
お婆さんはもしかしたら彼はまだ出撃していないかもしれない
そう思った
だが……彼は終戦の知らせが届く一時間前に出撃
敵艦に突っ込み戦死した
特攻する機体には無線機はついておらず終戦を知らせる方法は無かった
お婆さんは彼の戦死を食堂の常連の方から聞いた
式「後一時間前だったら……」
婆「彼は助かったかもしれない、けど起きてしまったのは仕方ない。あたしだけじゃなく他の人も同じ思いをした人がたくさんいた時代だからね」
宮路「お婆さん、もしかして首にかけてるそのマフラーって」
婆「そう、あの人がくれた赤いマフラーよ。あの人先に行って待っているって言ってたけどあの人は若いまま死んであたしはしわくちゃで会いに行ったらビックリされるかもね」
お婆さんはニッコリ笑った
お婆さんは心臓が弱くて本当は入院しなくてはいけないらしいが彼の墓掃除をしたいが為拒んだとの事
前日医者に余命宣告され後一ヶ月と言われた
神楽「死ぬの怖くないんですか?」
婆「怖くない、逆に楽しみね。やっと彼と二人っきりになれるから」
お婆さんはふたたび墓を磨き始めた
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