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「姉さんの家から私の家までそんなに遠くないから、佑真ちゃんは転校する必要はないわ」
友梨香さんはそう言って車を走らせた。
「取りあえず、明日は荷物を私の家に運びましょうね」
「色々とありがとうございます。友梨香さん、これからよろしくお願いします」
とてもありがたいことだった。
それは、小さい私でも分かった。
「友梨香さんじゃなくて、お母さんって呼んで」
友梨香さんはにこりと笑った。
「…………お母さん」
「はーい」
「……お母さん」
「はーい」
「お母さん!」
「はーい」
あの時、何度も何度もお母さんって呼んだ。
呼ぶ度に返事が返ってきた。
今でも、はっきりと覚えている。
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