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ミーンミーンと蝉がせわしく鳴いていた。
額から、汗が噴き出す。
進めていた歩みがぴたりと止まる。
目の前には、さほど大きくもない鳥居が建っていた。
記憶より小さい。
多分、自分が大きくなっただけなのだろうが、それでも、記憶との違いを見せ付けられた気がした。
中では、多くの出店が並んでいる。
子供は、親に手を引かれ奥へと入っていった。
そう、あの夏祭り。
あれ以来、一度も行っていない。
行けなかった。
今まで何となく避けていた過去。
それはただの弱さ。
このまま、引きずるわけにもいかなかった。
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