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中堅大学を卒業した菊池里華の夢は、幼い頃からキャリアウーマンになる事だった。
大学を卒業し、本意ではないが、それなりの規模の会社に営業として勤め出した彼女は、四年目を迎えていた。
里華は電機関係の会社に勤めていて、営業成績もそこそこだった。文系出身の彼女は電気について、制御について、良く勉強し、人付き合いが苦手にも関わらず、顧客の評判も良かった。
でも里華は違和感を抱えていた。
一生営業でやっていくのだろうか。意味の分からない理系の話にかこまれ、興味の無い電気の話に翻弄される毎日に嫌気がさしていたのだ。
それでも毎日、自分の努力が足りないと仕事に精を出していた。
FPがどうの。
決裁を取らなけば。
予算。
実績。
策定。
何だか、小学校時代の嫌いな子ばかりにかこまれる様な毎日。
それは里華にとって、知らず知らずのうちに、空洞のような孤独と、台風の前の様な不安感を増長させていたのだが、彼女はそれに気づく事はなかった。
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