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目線を俺の頭上に上げた筋骨隆々の男(ゴリマッチョ男)は嘲笑を一瞬で消し、代わりに目を剥いて驚愕の表情を浮かべる。
今、彼の視界には俺の頭上に数字が浮かび上がって表示されているはずだ。【75164】という数字が。
俺は目の前のゴリマッチョ男と同じように彼の頭上に目を向ける。表示されている数字は【85170】。約一万位の差がある。
このランクは戦剣機構ガレストアに所属する剣士にのみ与えられるものだ。ガレストアに所属する剣士は身体のどこか(俺の場合は右手の甲)に機構の紋章を刻んでいる。
この紋章を刻んだ剣士だけが相手のランクを視認することができる。だから紋章を刻んでいない、つまりガレストアに所属している剣士以外の人の視界にはゴリマッチョ男が脆弱そうな少年の頭上を目を剥いて凝視している、というなんとも滑稽な風景が広がっているのだ。
ゴリマッチョ男はどよんとしたオーラを纏いながらガックリと肩を落とし、俺の横を通り過ぎた。気持ちはわからないでもないが、たかだか一万位の差で肩を落としているようでは上へは行けない。
上、そう頂点であるランク【1】位には。ランキング一位、つまり最強の剣士ということだ。十万人の頂点に立つ剣士、それは世界最強の剣士であることを意味する。
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