《 二 》

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「尾沢っ! ……さん。なら、あんたはこの国に広大な砂漠地帯が広がると予想できたのか?  熱帯雨林が繁殖するなどと思ったか?  海が凍り付き、北極熊や海豹が住み着くと考えたか?  それらが全て同一の地域に存在したり、それらの環境が色々な地域で目まぐるしく入れ替わったりするなどと?  もう、我々の常識など通用しない、我々の常識の範疇など、とっくに越えているんだよっ!」 御堂が一気にまくし立てる。 額には血管が浮き、眼は狂気とも思える光を宿したその迫力に尾沢だけでなく、全員が呆気にとられた。 「じゃ、じゃあ、やはり、結局、薬は、意味がないという事か?」 ようやく尾沢は言葉を発するが、御堂に圧倒され、先程までの勢いは完全に喪失していた。
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