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「まあまあ、御堂さん落ち着いて。尾沢さんも、ちゃんと話を聞いて下さいよ」
藤川は御堂を宥め、尾沢を諭すと言うより、冷めた態度で二人を小馬鹿にしていた。
「いいですか、尾沢さん。話をまとめてあげますよ。今の環境を保てれば、薬を飲んで生き続けることができる。しかし、そうなると人間は環境をさらに悪化させるでしょう。これは私の意見ですがね。そして、今以上に環境が悪化すれば、薬を飲んでも意味が無くなる可能性が大ということです。つまり、今の環境が人間が生きられるギリギリのラインなんですよ、薬を飲んだとしてもね。今の環境を保てなければ、何をしようと人間は絶滅の道を突き進むしかない。ならば、何としてでも今の環境を維持しなければならない。ここまで理解できましたか? 尾沢さん」
「あ、ああ」
「続けても?」
藤川が伺いをたてる。
声で尾沢に、眼で御堂に。
「あ、ああ。続けろ」
尾沢はおとなしく藤川の話に聞き入り、御堂も無言で頷く。
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