《 二 》

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「私の案などと言っても、難しいことはありません。この国の人間以外には死んでもらう、それだけです。但し、直接、手を下す必要などありません。他国の人間には戦争で互いに潰し合うもよし、いわれのない虐殺をし合うもよし、自滅するもよし、環境に適応できず死ぬもよし、とにかく、どんどん死んでもらうというわけです。この国の人間でも、薬を飲むのを拒否し、環境に適応できない者には死んでもらう。それが私の考えです。いえ、御堂さん。これがあなたの考えですよね? 勿論、立場上、こんなにはっきりと言えないでしょうし、自ら望んでいるわけでもないでしょうがね」 藤川が真意を確かめるように、御堂の眼を射抜く。 「ふざけるな!」 叫んだのは御堂ではなく、畑山邦幸[はたやま くにゆき]だった。
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