《 二 》

24/26
前へ
/121ページ
次へ
「藤川君、いい加減にしなさい。大山さんも尾沢さんも落ち着いて下さい。国民を代表し、この国の政治を担う者同士がいがみ合ってる場合じゃない筈ですよ」 最悪となった場の雰囲気を取り繕おうと、閣僚唯一の女性である福嶋水羽[ふくしま みずは]が場を治めようとする。 しかし、口調こそ静かで穏やかだが、さながら狂犬の如く、誰にでも噛みつこうとする藤川の前では無駄な行為、発言でしかなかった。 「福嶋さん、お茶を濁している場合じゃないんですよ。あなたこそ分かっているんですか? あなたはどうします? 御堂さんと私の意見に賛同するんですか? どうなんです? 畑山さん同様、理想論ばかりを掲げ、国民に胡麻摺りばかりして、人気者を気取ってる場合じゃないんだよ。生存か、絶滅か。生きるか、死ぬか。そういう話なんだよ。あんたの党が与党として生き残れるか、野党に下るか。そんな問題じゃねぇんだよ」
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加