《 三 》

9/31
前へ
/121ページ
次へ
会場となっているのは異常気象によって作られた砂漠地帯の中央部。 砂漠となった筈なのに、砂や岩の上には雪が降り積もっている。 そこに高さ、横幅、共に四メートルほどの四角いプレハブがある。 プレハブの上にも雪が積もっている為、以前からこの場所に置かれていたものだと分かる。 天井、床、四方を囲む壁の内三つは黒く塗りつぶされているが、入り口のドアがついている壁だけは透明で中の様子が見えるようになっている。 集まった新人類達はそのプレハブが今日の為に用意されたものなのか、この場所に元からあったものなのか分からず怪訝そうに見ている。 一カ所だけ透明で他の壁は黒く塗りつぶされた奇妙なプレハブから五十メートル程離れた所に、こちらは普通のプレハブが建てられている。 そこは事務所兼、御堂、藤川、関係者、スタッフなどの休憩室となっている。 その周囲にはテントや露店が数多く立ち並び、食べ物や飲み物が売られている。 一見すると普通の野外イベントといった体だ。
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加