《 三 》

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午後七時、御堂と藤川が事務所兼休憩室となっているプレハブから出てくる。 二人のいつになく厳しい表情、発するオーラが親睦会の様な和気藹々としていた雰囲気を一転させる。 今日集まったのは親睦を深める為などではない。 そういった意味合いも確かにあるが、それだけではなく新人類の決起が目的だ。 これまで集会では、地位の向上、確立、新人類として生きていく決意、奮起、旧人類との決別、薬の流布を促してきた。 群衆が御堂と藤川の下に集まり始め、二人を取り囲むように巨大な輪ができる。 御堂がスタッフにマイクを渡され手にする。 そのスタッフも服を来ているので分からないが――腹部に復数の鼻が突出している――もちろん新人類。
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