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教室に着くと既に数人がクラス名簿が置いてある教卓を囲むようにして話している。
よく見るとその中には元彼が…
「ねぇ…」
「ん?」
私が夏樹の制服を引っ張ると夏樹が勢いよく振り返った。
髪の毛が長いため顔面に髪の毛の鞭が当たる…。
「いっ…」
「あ、ごめん!」
衝撃で落ちた眼鏡を拾いながら夏樹はお腹をかかえて笑った。
そういえば…、と先程自分が話しかけたことを聞かれ再び話そうとすると自分が見られていることに気づいた。
ふとそちらに目をやると、男子が数人こちらを見ていた。
中には元彼もいる。
耳をすましてみると…
「ほら、あいつだよ。俺の元カノの朝陽翔子…」
「え、お前何で別れたんだよ?」
「あいつ無愛想なんだよなー。全然甘えて来ないし…」
……私は聞かなければ良かったと後悔した。
聞いてしまったから仕方がないけれど、陰口は嫌いだ。
私は過去に男性に路地裏に連れ込まれ、服を脱がされたことがある…
その時から男子とは距離を置いてしまっている。
どう接したらいいのかがわからない。
甘えたくても甘え方がわからない…
決して嫌いではなかった元彼の陰口に私は早くも学校に来たくなくなってしまっていた。
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