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-4月25日:木曜日-
「にゃぁーふ(暇だ…)」
賢治は学業の為、家にはワシだけだ。まぁ今日は…というより、賢治にはバイトもあるため平日は基本的にはひとりだ。以前は外に遊びに行っていたが…今は事故を防ぐためにこうして暇を持て余している。
「にゃふ…(寝るか)」
再び縁側付近の日当たりのいい場所に寝っ転がる。外を眺めつつ寝るのがやること無いときによくすることだ。
「えー…また寝ちゃうの?もう…寝てる姿は見てて暇なのにぃ…」
「んなぅんなぁ(そうは言ってもやること無いしな)」
……………。あれ?何か違和感を感じる…。なんだ?
寝たままの状態で微動だにせず違和感を探す。いや、本当は気づいている。
ワ シ の 後 ろ に 何 か が 居 る
今、確かにワシは誰かと喋った。誰も居ないこの家で、確かに言葉を交わした。恐怖で全身に冷や汗をかきつつ、後ろの気配を探る。一度感じてしまえば慣れたものだ、背中にビンビンと感じる。その気配は冷や汗となり、悪寒となり、ワシの毛を逆立て、あらゆる感覚となりワシの体を駆け巡る。
はっ…!まさかこれが老いた人間の言う『お迎え』と言うやつなのか!?遂にワシにお迎えが来たということなのか!?後…後一年なのに…。振り向きたくない…振り向きたくない!ワシはまだ賢治のそばにいたいっ!ワシはまだ───「んー?ひょっとして…」
「に“ゃ“ぁぁぁぁぁ(いやぁぁぁぁぁ!!)」
不意に覆い被さるようにワシの顔を覗き込む敵に驚き、その場から飛び退く。そして敵を視界へと入れ確認をした。
「すごいすごい!!あたしの事見えてるんだね!すごい!!やったぁ!」
そこにいたのは、長い黒髪で前髪を切りそろえ、着物を着た…まるで日本人形のような小さい女の子だった。
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