春の思い出

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 しかし少女だとしても、警戒を緩めない。ワシにはわかる。こやつから感じた嫌な気配…恐らくこやつは人ではない。 「フーーッ!!シャーーーーッ!!(ワシはまだ逝くわけにはいかんのだ!!だからお迎えはまだいらない!!)」 「ん?おむかえ?えっと…何のこと…かな?ごめんね…よくわかんない」 「なぁーーー!!(とぼけるな!!そうやって油断させて連れて行く気だろ!!)」 「なんで怒ってるのぉ?ミヨはただタマちゃんと遊びたかっただけなのに……エグッ…」 「んなぁー!!……にゃ?(ほれみろ!!やはりワシを───!!えっ?)」  今こやつは何と言った?ワシと遊びたかっただけ?お迎えじゃないのか?えっ?      少女の頬を流れる涙の量に比例して、ワシの頭の混乱具合も増していく。そこでワシは、少女とワシ自身の頭を落ち着かせるために、状況の整理をしようと少女の前へと歩み寄り座り込んだ。  「にゃ…、にゃぁー…にゃぁ?(わ、ワシが悪かったから落ち着け…。な?)」
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