春の思い出

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「…ん」  どうやらしばらく眠っていたようだ。窓の外を見ると薄暗くなりつつある。 「にゃははぁ…スゥー…スゥー…、タマちゃん…みぃつけたぁ……スゥー…」  起き上がり視線を窓から横に向けてみると、だらしなくも可愛い寝顔でヨダレを垂らしながらミヨが寝ていた。 「ふむ…幽霊も寝るんだな。ふふふ…、何となく昔の賢治を思い出すな」  何故かミヨの寝姿に昔の賢治の面影を感じつつ、今度は時計へ視線を変えた。  6時前…か。そろそろ健治が帰ってくる頃合いだな。 「ん~…」 っと、伸びをして起き抜けの身体を目覚めさせる。と同時に傍らで寝ていたミヨの事も起こしてしまったらしい。 「……。ふぁ~ぁ…かふぅ…。ん~、もう…こんな時間…賢治…帰ってくる時間…」 「ふむ…よく知ってるな」 「だってずっと…見てたもん…」  そういえばそうだったな。にしても…ヨダレの跡が付いている。 「ミヨ…ヨダレの跡が凄まじいぞ…」 ガラガラガラッ  Ω<タダイマー 「えぇ~…どこぉ?」  そう言いながら、跡が付いている口元とは逆の方を撫でる 「違う、逆だ逆!」 右足を必死に動かしながら、正しい場所を指摘しようも頑張る。 「えぇ~こっちぃ~?」 「そうだ」 「(ゴシゴシ)ん~…きれいになった?」 「あぁ…バッチリ━━━━」 ドサッ ん?  物音がした方へと向くと、憲治が持っていた荷物らしきものを足元へと落とし、呆然とした様子でこちらを見ていた。 「タマが…タマが…」 ワシが…どうかし━━ 「何もないところに向かってじゃれてるぅぅぅぅぅぅぅ!!こっえぇぇぇぇぇ!」 あぁ…そういうことか。
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