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こちらを指差しながら驚いている賢治に説明をしようと近付く。
「にゃー、んなぁ…ふにゃ!?(おかえり、これはだな…のわっ!?)」
人間には通じるはずもない言葉で話ながら足元まで来たとき、突然賢治に抱き上げられた。ほぁ…いい匂い。
「どどどど、どこのおばけかしらないけどな!!タマは渡さんっ!連れて行かせんぜよ!!」
なにこれ…うれしい。喋り方は若干変になっていたが、ワシを守ろうとしてくれてるのは素直に嬉───はっ!!
パッとミヨの事を思い出し視線を向けて見ると、ミヨは目に今にもこぼれそうなほどの涙を溜めて、こちらを見ていた。
「ミヨは…エグッ…ヒクッ…ミヨは…何も…してないのに…ぁぅ……あぁぁぁーーん」
ミヨに向かい──本人は見えてはいないだろうが──未だに叫んでいる賢治の言葉に堪えきれなくなったのか、ミヨはその場に泣き崩れた。
「はぁ…はぁ…もう…大丈夫かな…?一応…ユートピアしといた方がいいのか?…よし」
賢治は何かに納得したのか、ワシを降ろして服を脱ぎながら台所へと歩いていった。
「にゃ!(ミヨ!)」
ワシはすぐさま泣いているミヨへと駆けだしていた。
「ミヨ…すまない。賢治には悪気があったわけではなんだ。全てはワシを守ろうと(ニヘラ」
「わか…わかってるよぉ…スンッ…。でもでもぉ…賢治に追い出されたりするんじゃ…ないの…?」
「大丈夫だ。賢治にミヨを追い出すような力はない。塩を盛るのならワシが避けてやる。それに、以降は賢治に見られないように遊べばいいだけだ」
「ほん…と?」
「あぁ」
「ほんとのほんと?」
「あぁ、だからもう泣くな」
「うん、わかった(ニコッ」
ミヨは流れていた涙を着物の袖で乱暴に拭って、 それはそれは愛くるしい笑顔で微笑んだ。
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