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4月8日 日曜日
穏やかな春の空を彩る桜の花々も、段々と我が身や地面に降り始めた今日この頃。
そんな様相を寂しく思いながらも、縁側の上で悠々自適に日向ぼっこを満喫していた。
(今年もこの家の桜は立派に咲いて散っていく。もう…春も終わりか…)
縁側前に広がる庭にどっしりと構えている散りゆく桜と、身体中に感じる日差しに春の終わりの片鱗を感じ、しみじみ思う。
(確か…19回目の春…だったな)
この桜にも19年分の思い出があるように、今時の日本には珍しい、この古ぼけた平屋の家屋にも19年分のワシの思い出がある。
その思い出にはいつも決まって出てくる顔─────ワシと共に育った兄弟と言っても差し支えのないであろう友の姿があった。
その顔を思い出した所で、ふと時間が気になった。
(もうこんな時間か…)
今の時刻14時30分過ぎ、もうそろそろ帰って─────
「たっだいま~ww」
(噂をすればなんとやら…だな)
寝ていた体を起こし、急ぎ足で玄関へと駆けていった。
トテテテテッ
「おっwwただいまww出迎えご苦労でござるww」
「ンニャー(おかえり)」
「今日も今日とて可愛いのぅww申し訳ないっすが、モフらせてもらってもよろしいでしょうかww?てか、モフらせろやww」
仕方ないのでその場で寝転がってやった。
「面倒くさそうな目をしてるが毛の方は正直だなwwこんなにフサフサモッフリさせやがってwwこんなものこうしてやる~ww」
ぐりぐりぐり~
「んなぁ(こそばゆい)」
「ここかwwここがええのんかww?おぅww?」
こそばゆいのは苦手だが
ワシはこの時間が案外気に入っている。友の笑っている顔が見られるからな。
しばらくモフられていると、満足したのか友はワシから顔を離して、立ち上がった。
「はぁー、幸せだったww」
そう言って玄関から上がり、居間へと入っていった。ワシも後に続き居間へと着いていった。
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