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そう、ワシはこの人間に飼われている猫だ。そして──────
「まずは…おかーさんただいまー」
チーン
仏壇に向かっているのが、現在の主(ぬし)であり、友でもある賢治(けんじ)19歳のオスだ。
ちなみに仏壇の前に置かれている写真に写る人物が、ワシの元主の賢治の母親だ。賢治の母君には本当に色々良くしていた─────
「よし、ちょっと遅くなったけど、昼ご飯にしよ。タマには刺身買ってきたからねーwwおいでww」
…………。ふぅ、仕方無い。母君の思い出話はまた今度にして、賢治について行ってやるか。刺身を無駄しても罰当たりだからな。
「にゃーぁ(来てやったぞ)」
台所に居た賢治の足下にすり寄る。
「待て待てwwまだあわてる時間じゃないww」
べ、別に慌ててなどいない!!踏まれないように居ることをアピールしているだけだ!!──と声を上げて反論するが、賢治からすると
「わかったわかったwwほら、とりあえず一切れだけなww(ヒョイ」
おねだりをしているように聞こえるだけだった。人間の言葉は理解できるというのに…、喋れないというのは、もどかしくてやるせない。
だがそれも…、後一年…後一年だ。そうすればワシも…
猫又になれる。
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