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ここで彼は初めて矛盾に気付いたのだろう。事実、私も其処で感じた。誘ってきた先輩は既に免許を所得していた。そもそも、帰りの運転主は女だったらしい。学校の廊下ですれ違うと、一言二言交わす程度の仲の。初のデートの誘いが深夜のトンネルなんてなかなか粋だと思わないかい? ……そうか、私だけか。そんな顔をしないでくれたまえ。頼む。……話を戻そう。そもそも行きは快適だった。微かに揺れる車内で売主は眠気を誘われていたと言っていたよ。消えたのさ。彼を本当に誘った者の存在がね。学校も、何も疑問に感じない。学校だけではない。世間も。消えた彼の行方不明届けも出てない。まさに、消えたのさ。
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