序章 古い歴史は立たなければならない

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「浮かばない表情だがどうかしたか?」 と聞いてみるが大方の予想がついてしまっているのでそれを確かめるために聞いた、すると案の定その通りの答えが返ってきた。どうやら今日の式典の主役である女性がどこかに消えてしまったらしいのだ。 それを聞いて思わず笑ってしまったが、彼女ならあり得てしまうのだ…だから困る。気苦労が絶えないカイを見ていると不便でならないが彼は余り気にしていないらしく、どうやら慣れてしまったようだ。 しばらくすると扉がバンと音を立てて開き一人の女性が入ってくる、一目見ただけでわかる容姿だ。 「久しぶりねルウシス」 そういってニカッと笑う彼女は幼いころから知っている、ひねくれ物で頑固でわがままでそれでいて絶対に揺るがない野望がある。私から見れば見た目は小さな子供だが本人曰く立派なレディらしい。 「さぁ始めるから外に出るわよ」 入ってきたと思ったら今度はずかずかとベランダに向かって歩き出す。とてもそそっかしいのだがあまり気にしないでおこう。彼女はベランダに立つとその先に移った景色に少し驚いた。見渡す限り人、人、人だったのだ。 彼女は一呼吸し大声を張り上げてこういった 「私がこの国を治めることになったミユ・アスタベル、この国は私の国つまり私のもの。だから私の言うことにはしたがってもらう!」 ざわざわと先ほどの言葉を聞いた国民たちが不安を持ち始める、だがそんなことは一切お構いなしで話を続ける。 「私はいいものが好き、いい武具も食べ物も店も何もかもいいものが好き、だからこの国を最高の国にしてみせる」 ざわつきが消え国民全員がごくりと次の言葉を待つように静まる。 「だから私についてきなさい国民たち!」
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