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子供を一人連れているだけで、これほど追跡者から逃れることが大変だとは思っていなかった。声を上げるしすぐにぐずりだす…しかしこれも仕事なので仕方がないと割り切らなければならないのが現実だ。
「ねぇルウシスー」
無邪気に話しかけてくるのは今回の依頼で保護を頼まれた少女だ、一国の娘らしいのだがなぜ保護を依頼されたのかはわからないのが現状である。依頼料がよかったというだけで決めるべきではなかったと後悔しているが、いつもよくしてもらっている人からの頼みなので断れなかったのだ。
「どうしたんだ?」
「私ね今日誕生日なんだー」
えへへと笑いルウシスの手を握り飛び跳ねる少女は今日で5歳になるらしい、しかしこんな周りが森だらけのところで彼女の誕生会を開くのも申し訳ないので近くの町に移動することに決めた。が簡単に追跡者が行かせてくれるわけもなく、目の前に三人の傭兵が現れる。
「ごくろうなことだ…すぐに終わるから目をつぶっててくれるかな?」
そう諭すとこくりとうなずき両目をふさぎ両手で覆う、こういうところは素直で助かる。ゆっくりと背中に背負っている大斧を構える、その斧はまるで巨人が扱うかのような大きさで驚異的な存在感を放っていた。
「さぁ来なさい、何すべて峰打ちで終わるさ」
その言葉を聞いた傭兵は焦ったように突っ込んでくる、恐怖に駆られたのかそれとも無謀なのかはわからないが無駄である。ルウシスは勝ちを確信した…
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