カゲロウ

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僕が欲しいのはフルメタルで出来た物だ。もう一回、ハズレ。残り900円。もう一回、ハズレ。残り600円。小遣いを全てガシャポンで消すのは少し勿体無い。300円でお菓子でも買っとこう。ガシャポンは逃げないのだから。お菓子も逃げないが友達と買う、という機会は逃げてしまう。ラストワン、運命の一回。震える手で百円を三枚穴に入れて、ハンドルを回す。カシャンと言う音がいやに頭に残った。 青いカプセルの中には一回目で手に入れたのと同じガンダル。 残金だ。その後、僕はガムやうまい棒と言った比較的メジャーなお菓子を買って、店の前のベンチで駄弁っていた。 お菓子を交換したりカードゲームの対戦をしたりと、小さな世界が出来上がっていた。 そんな中、僕はただ一人目当ての物を当てられなかった悔しさからガシャポンを見つめていた。次の小遣いまで一ヶ月。お年玉は七ヶ月かん経っても残っているが使いたくない。
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