カゲロウ

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今日はひい、ふう、みい……僕も入れて六人。けいどろをするには少ない。鬼ごっこ辺りが妥当かな? 自転車を側の木に止めておいて、日陰でペチャクチャ話している皆の中に加わった。 何を話していたのかな? 皆はおせー、あちーとか口にしながら僕を迎え入れた。 やっぱりこんなクソ熱い中鬼ごっこなんてごめんだ。体が溶けちゃうよ。 昨日のテレビ見た? あれは無いわ。 お前○●の事好きなの!? とかてきとーに話して時間を潰す。これでもけっこー楽しい。たまーに耳寄りな情報が入るし。 「あっ、知ってる? 駄菓子屋がこの公園の近くに出来たの」 雑誌を片手に喋っていたポニーテールの女の子、秋葉 夏海 からでた言葉。 「マジで? いこーぜ。ヤギーも行くだろ?」 サッカーボールをポンポンとリフティングしながら話していたツンツン頭のサッカー馬鹿、尼原 カケル がそれに反応。このやろ、今日は小遣い貰えるからお財布が重いぜ。 「当然。いけないヤツはいるか? いたら手を上げろ」 誰も上げない。僕はよし、と頷くと止めておいた自転車に跨がる。皆も自転車に跨がり、夏海を先頭にしてこぎ始めた。 駄菓子屋にはほんの三分程度で付いた。家をそのまま駄菓子屋に改造したような小さな駄菓子屋。家だと勘違いしている人が多いのか店の中には誰もいない。 自転車マークが書かれたガレージ。ここに自転車を停めるのだろう。停めておいた。 店の奥からエプロンをした若い女の人がいらっしゃいと言いながらカウンターに付いた。気が強そう、姉御肌ってヤツかな。 改めて店内を見渡す。外見と比べて広い。品揃えもかなり良い方だろうか。うまい棒がかなりの種類売っている。 アイドルグループのステッカーを見てキャーキャー言ってる女子、イカのお菓子やガムをかごに入れている男子。僕はそんなみんなから少し離れた位置にあるガシャポンをガン見していた。 ガンダルダブルAマスター。僕が三年間追い求めてきたガンダルミニフィギュアコレクションの中でもトップを誇るレア度。それが当たる確率が高くなっているらしい。料金は通常のガシャポンより100円高い300円。 僕の所持金は1500円。 ……やるしか無い。 一回目、ガンダルダブルAマスター。目当てが来たかと思ったが少し違う。
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