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時は少し遡る事、一週間程前ー。
「……」
一人の青年・大神は、陽の光が丁度真上から挿す昼下がり頃、いつものようにブラブラとお決まりの散歩コースである商店街を歩いており、そろそろ昼飯刻という事もあって腹を空かし、近くに何か飯屋は無いかとキョロキョロしていると、
「あんな店あったか…?」
ふとその視線の先に見慣れないファミリーレストランの看板を見付け、まるでそれに引き寄せられるかのようにそこに向かって歩を進めていた。
そしてその近くまで来ると、
「いかにもって感じだな」
どうやらほんの一週間程前にオープンしたばかりのようで、丁度飯刻という事もあってかなり混み合っていた。
人混みが嫌いな大神は、ハッと短く息を漏らすと、すぐに別の店を探そうとその場を後にしようとするが、
「あれ、あいつは…」
ふとその店の中に、少しばかり懐かしい顔を見付け、ちょっとした興味本意で店の中に入ってみた。
「いらっしゃいま…あ!」
「よっ、久しぶり」
店に入ってすぐ、最も近くにいた一人の女性店員が元気よくこちらへ駆けて来ると、その店員もすぐに大神の顔を思い出したようで、
「大神じゃん、久しぶりだねー!今日は一人?」
「あぁ、案内してくれよ」
「うん、それじゃ……あそこ、あの席空いてるからあそこへどーぞ」
懐かしさから以前のように満面の笑みを浮かべ、元気よく奥の席へと誘導した。
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