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「大神遅いなぁ、何やってるんだろ…」
時刻は、予定していた朝の十時から十五分程過ぎ、大神がなかなか姿を現さない為に奈津美はソワソワしていた。
もうこの駅前の広場には、今回のツアーに同行予定の12人の内、大神を除く11人が既に揃っており、奈津美は責任を感じながら時計とにらめっこをする。
するとそこへ、
「お友達はまだ現れませんか?」
「あ…」
今回の主催者である会長の"赤羽大介(25)"が、奈津美に声を掛けてきた。
それに対し奈津美は、
「ごめんなさいごめんなさい!もうすぐ来ますので、絶対!」
すぐにバッと頭を下げ、直後に頭を上げてはまたすぐに下げてを繰り返し、何度も謝罪する。
すると赤羽は、
「はは…遅刻は誰でも一度や二度はするもの。それに彼は今回が初めてだから大目に見ましょう。幸い、文句を言う者は一人もいませんからね」
欠片も怒る様子を見せず、微笑みすら浮かべながら気さくに接した。
それに対し奈津美は再度深々と頭を下げると、
「よーっす」
「大神!!」
そこへ漸く大神は姿を現し、まるで急ぐ素振りを見せずゆっくりスタスタと歩み寄ってきた。
すると奈津美はすかさずそこへ駆け寄り、
「"よーっす"じゃないでしょ、遅刻っ!!」
「あたっ…!」
何処からともなく取り出した巨大なハリセンで大神の顔面を叩き、怒鳴り声を上げる。
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