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「先日お買いになられた靴はどうなされたのですか?」
「クローゼットの中」
「はぁ……、何が起こるか分からないこの世界だからこそ、
靴はお召しになってください」
「嫌よ。ヒールばっかり……。
せめてシューズとかさ、実用性の高いのなら考える」
「承りました。
では明日までに揃えておきます」
「お願い致します」
怪我をした訳でもないのにハンカチを巻かれた足は白い
靴を履いているみたいで、靴なんて買ってこられなくても
このままで良いような気さえする。
「サボらなければ朝の6時には帰られるかと思われます。
緊急事はありませんので学業を優先されてもよろしいかと」
書類を見る私の目で悟った一言。
「じゃ一時間の休憩考えといて、寝れないのは辛い」
「畏まりました」
「さて、頑張ろう」
こうして今日も報告書と始末書に追われる日が始まる。
コンコン
「はーい」
「Mari goodmorning!!」
「どうぞ」
ガチャッ
「報告書を持ってきたよ」
赤髪を綺麗に編み込み、棒付きの飴を口に含んで燕尾服を
着崩しやって来た彼の名は由紀。
「ワァーォ。今日もすごい量だね」
何事も気紛れに行う為、後始末がかなり大変だったりする。
近くに寄ってくるなり指で突きながら見上げた山に改めて
感心され、
「本当にね、誰か変わってほしいよ」
私は苦笑を浮かべた。
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