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その頃、ビバの下に村から逃げ帰ってきたは兵に罰を下していた。
「ビバ様お許しを……ヒッ」
男の胴体を有無を言わさずに切り裂いたのは、三メートルあると思われる巨体に巨大なサーベル、ズルリと鈍い音を立て落ちた上半身に唾を吐きかける。
「ぺっ…何も持たずに逃げ帰った無能はこの俺様が暖炉の薪にしてやる…次!!」
次々と二人係で両手を押さえ込み、逃げ帰った無能を真っ二つにしていくビバ。
「逃げてきた者は全てこうなる、こうなりたくなければ金貨の一枚でもブン取れ、服の一着でも剥ぎ取れ、女の一人でも連れてこい」
高笑いをしているビバに慌てた表情で連絡隊が戻ってきた。
「馬が…馬が二頭…」
「ほう、馬を捕まえたのか、それはどんな馬だ?」
すると、村の方向から蹄と馬車の荒々しい音が迫ってくる。
槍を突き出し構えたが、その馬車は道なき道を駆け走りそのまま木製の塀を突き抜けてきた。
「あの二頭です」
「なかなか生きのいい二頭じゃねえか…だが、馬車が邪魔だな」
賊を跳ね飛ばしビバに突っ込む二頭、ビバはサーベルを縦に振りかぶり二頭の馬の間をすり抜けて、馬車は真っ二つに切断された。
二頭の馬は自由になり、抑えようと首に縄を掛ける賊に対しては容赦なくその蹄で踏みつけ、振り飛ばした。
「この馬、疲れってものを知らないのか!」
「いづれ鈍くなる、さっさと捕まえろ」
そう言い残しビバは自分のテントに入り、誰も邪魔されないよう締め切り、サーベルの手入れを始めた。
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