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馬に気を取られて、だれも繋がれていた馬車に近づかない、ようやく数人が命令されて物色するために馬車の中を覗こうと近づいた。
「てえしたもん入ってねえよどうせ」
「でも、もしかすると宝石箱とかあったりして」
「それとも美人なご婦人とか」
一つは斬った側が空を向いていたが、もう片方は地面を覆い被せるように倒れていた。
そして、扉の意味をなくした戸を引き剥がし、一人が中をのぞき込んだ、中は引き剥がした所からしか光が入っていなかったが、戸を境界線に光が入っていない。
「なんにもねグッ」
覗こうと頭をいれた賊の首に何かが巻きついて、馬車の中に引っ張られる、手で剥がそうにも剥がれない、腰のナイフで切ろうとしたが切れない。
「おい、どうした?さっさと入れよ」
得体のしれない何かに引き込まれる。
「なんだ?突っかかったのか?太ってもないのに」
「ガッ…」
声が出せないほど締め付けてくる。
「仕方ねえ…押してやるよ」
「ヤメロ……得体のしれない何かに……」
「せーの!!」
「喰い殺される…」
賊の一人が片側馬車の中に入った。
「どうだ、何かあったか?」
「……連絡がないどうしたん……」
すると、賊の入った穴から数本の黒い物体が残りの賊の首に巻きつき、声の出す暇なく、引き吊り込まれた。
「ごめんね…私美人だけど婦人て言うほど歳取ってないの」
静かに、確実に、引き吊り込む、誰一人殺さず。
「ん?あいつはどこい……」
「あれ?馬車のやつらは……」
「オーオー、元気のいいうま……」
「オイ、早くロープをよこせ……」
「よし!つかまえ……」
数が減る、誰にも気付かれぬまま、馬車の中に連れ込まれる。
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