第二話~一人の執事と姫様~

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村が襲われてからどのくらい経ったのだろう……。 家が燃える音、村の悲鳴、盗賊の笑い声、隠れていた家に火を投げ込まれ生きようと外に出たとき待っているのは。 「一名様発見」 逃げようとしてもすぐに捕まえられて、地面に押さえつけられる。 「男には用はねえ」 振り上げられた斧が容赦なく男の首に振り落とされる。 「まだ金目のものや女が残ってるかもしれねえ、燃え尽きてしまうまえに探れ」 容赦なく物を剥ぐ盗賊達、次々と燃える家、近づく足音。 「お母さん…」 一つのまだ燃えていない家の暖炉に棚を移動させて暖炉に体を震わせながら身を隠している女がいた。 4人家族の妹として幸せに生きてきたこの家も… 「よーし、次これ行くぞ」 「オー!!」 隊のリーダーが命令を出して、隠れているこの家に近づいてくる。 「誰か助けて…」 怖くて逃げることができない女はただ泣きながら祈るしかなかった。
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