「はじまりのはじまりは終わりでした」

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あたしが数学の時間にモラトリアムに襲われていたなんてことも露知らず、藍子はいつものように、派手な化粧をトイレで入念に直していた。 それは放課後のことで、これから二人でカラオケに行こうとしていて。だから気合を入れなおすの、という意味不明な超絶理論のせいで軽く十五分は待たされていた。 「葵はほんと化粧しないよねー」 塗りすぎだろうと心の中でツッコミを入れるほど、じっくりとマスカラを重ねていた藍子が不意に口を開いた。 「なに、急に。しかも今更?」
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