「はじまりのはじまりは終わりでした」

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腕時計が十七時十八分を指している。未だに学校のトイレから出れていないことに軽く苛立っていたあたしは、目線を携帯電話のパズルから上げて鏡の中の藍子を見た。 当の彼女は自身を飾ることで忙しく、こちらを見ていない。だからあたしが盛大に顔をしかめていることにも気がついていない。 「いやだって。今時十七にもなってすっぴんのほうが珍しくない?」 「世の中の女子高生が全員メイク命って考えてる方がお前のが怖いわ」 「何いってんのー!若いうちに着飾っておいて損はないんだからー!」 「……ある意味すっごいババくさいセリフだねそれ」 「葵だってメイクすれば多少モテるんじゃない?あたしには負けるけど!」 「人を持ち上げているようで実は自分を持ち上げるな」
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