「はじまりのはじまりは終わりでした」

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話はそれから流れた。藍子の化粧直しが終わって、カラオケにいって、夕飯前には帰宅して。 ――荒川サン。行方不明。 なんとなく程度には残っていたけれど、それ以上でもそれ以下でもなかった。 次にそれを思い出すのは、それから二日後。 学校の三時間目が終わっての休み時間、藍子が駅前にできた可愛いカフェに行きたいと喚いたときだった。 「中瀬さんっているー?」 クラスというのはある意味ひとつの固体だ。それによその異物が乱入してきたときの違和感は凄まじい。その異物は、恐ろしくよく通る声であたしを呼んで衆目を集めた。 「誰?」 見たことのない顔だ。精悍な顔立ちをしていて、ひと目で自分に自信を持っているのが伝わってくる。それこそ過剰なほどに。自分が呼べば、その人間は間違いなく付いてくると信じて疑わない。 嫌いなタイプだ。
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