「はじまりのはじまりは終わりでした」

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眉をひそめたのはあたしも藍子もほとんど同時だった。 「なんだそれ」 「ほんとにそう言ったの?だって葵、荒川サンの存在すら曖昧にしか覚えてないレベルだよ?なんで葵?」 「知るかよ、俺が聞きたい。本当に何も知らないのか?」 あたしは肩を竦めてため息を吐く。 「だから、知らんと言った。しつこい」 「じゃあいったいなんで……菜々はどこに行ったんだよ?」 言葉が尻すぼみに小さくなる。項垂れるようにしてしゃがみこんだ横田を横目に、あたしと藍子は顔を見合わせた。 ではやはり荒川菜々は行方不明なのだ。そうして彼氏――恐らく彼氏に違いない横田に何も告げず、消えた。 そこまでであればあたしにはほとんど無縁の話なのだが、いかんせん彼女の残した言葉。なぜあたしを指している?
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