「はじまりのはじまりは終わりでした」

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「それ、いつごろの話なの?てかいつから荒川サンと連絡取れないの?」 藍子が横田の顔を覗き込む。横田は少し思案顔になり、やや間があってからぽつりと答えた。 先程までの威勢は完全に削がれたらしく、打って変わって声が小さい。 「中瀬のこと聞いたのは三ヶ月くらい前。連絡取れなくなったのは――一週間くらいか?学校にも来てねえし、あいつんち行っても誰も出てこない」 「親御さんは?」 あたしが問いかけると、これにはゆるゆると首を横に振る。 「いないみたいだ。夜とか行ってみたけど、電気もついてねぇし」 「まさか――夜逃げとか?」 ひときわ声を低くして藍子がしかめっ面をしてみせる。 「それこそまさかだ。あいつんち割と裕福なんだぞ。服とかしょっちゅう買ってたし」
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