「はじまりのはじまりは終わりでした」

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藍子がうーん、と唸って会話が止まる。あたしはちらりと教室の時計を見上げた。あと二分で二時半になるというところだ。 「どうでもいいけどそろそろ休み時間終わる。もういいか?本当にあたしは何も知らないし、悪いけどそこまで親身に探してやる気もない。元々付き合いがあったわけでもないし。 探したいなら教師なり、警察なりに届け出て様子みたら?そういうことだから、教室戻ってくれないかな?」 「やーん葵つめたー」 藍子の茶々も無視して横田を引き立たせてやる。肩を落としていかにも落胆した様子のまま、小さく頷くと彼はそのまま背を向けた。 冷たい?当たり前のことじゃないのか?そもそもなぜ自分が荒川菜々の言葉に組み込まれていたのか、それだけが謎であってあたしは関係ない。 当然、関係ないのだ。横田の背を眺めながらそんなことを思った。
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