「はじまりのはじまりは終わりでした」

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ショッピングモールを視界に捉える。どんどん近づく、その大きな建物。ライトに照らされている白の無機質さが、濃紺になりかけている周囲からやけに浮いて見える。 イヤフォンから絶えず流れる音楽に没頭しながら、なんとなくショッピングモールを見上げた。様々な店の巨大な広告を順々に眺める。やがて一番上のそれを見やったとき、あたしは不意に気がついた。 ――黒い、点のような。 思わず足が止まる。それは立体駐車場の最上階、屋上の部分にあたる。柵越しになにか――それこそギリギリ認識できるレベルのなにかがいる。目を細くしてその姿を捉えようとするが、視力2.0のあたしをもってしてもそれが何なのかは判別できない。 なんとなくそれから目を離せないまま、再び建物へと近づく。それと同時に、ひとつの予感が頭に閃く。 ――あれは、人のシルエットだろうか? なぜあんなところに。しかも一向に動かない。それこそその場から微動だにしない。
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