プロローグ

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「――なぜ我々がその提示を呑めると思うのか、そのご心情、私には察するに余りあるようです。 こちらになんの有益があって我が国の玉石を貴国へ献上しなければならないのです?」 だから、と鼻で笑う男の表情は酷薄の色を浮かべている。 「その分軍事力を貸してやるっていってるんだ。温室育ちの貴族様ばっかりが兵卒として上がってきてるようなあんたらのとこより、経験値積んだ俺たちの軍力に頼る方が賢い判断だと思うが?」 「お言葉ですが、そのように粗暴な圧力に頼らずとも、自国を守りきるだけの力は備えていると自負しております。そうでなければ三百年にも渡って国を保つことなどできましょう?」 白金の長い髪がさらりと揺れる。まだ少年と呼んでも過言ではないその新王は、あくまで淡々と言葉を述べた。
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