プロローグ

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それを嘲るように嗤う男の髪は、対照的に黒く短い。 「即位仕立てのぼっちゃんにはわからんだろうが、時代は変わったんだよ。平和ボケした時代は終わった。もっと力が必要な時代になったんだ。 これから戦禍渦巻く動乱が来る。最近の国政を見ていればわかるだろうが?その時になって泣きを見るのはそちらだぞ。いくらでも産出できる玉石くらいで俺の国力を買えることに感謝すべきだろうが」 「在位五年の貴殿に、この先の国政まで読める力がお有りだとは。 それにいくらでも産出できる、というのは少々語弊がございますね。あいにくと我が産業は他国に回す余裕があるほど潤沢ではない。それを削いでまで軍事力を買うなどと……どこの幼児の稚拙な考えでしょうか」 豪奢に彩られた長机に肘を付いていた黒の王が、じろりと白の王を睨む。
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