プロローグ

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「――随分な物言いだな?」 「貴殿には劣るかと」 室内の空気が更に緊張感を増す。 いつどちらかが斬りかかってもおかしくない状況だが、表面上は国交提案の場ということでこの会談が成立しているために、一部の護衛を除いて誰も帯刀を許されていない。それは王とて例外ではない。 国として成り立ってから、これまで国交を結ぶ努力がされなかったわけではない。それなのに今まで一度も親交がなかったというのは、結局合わないからだ。性質が違いすぎている。 だからいつからか、その努力すら放棄されてきた。こうなるのがわかっているのだからそれに費やす時間も、労力も無駄なのだ。 だから何度も申し上げた、と両国の側近がそれぞれ心中で思う。 張り詰めた空気を盛大に壊したのは、その時だった。
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